5月12日の午後、仕事を終えてから出発し、西に向かいました。
目指すは因島。
因島は尾道からしまなみ海道に入って、二つ目の島。
除虫菊畑に行ってみたくて。
元々は土曜午後に出発して、尾道でゆっくりして、日曜の朝に来るつもりだったんですが、日曜は雨になりそうだったので、まずここに来たのです。
それが大正解。
夕暮れ時のここの風景は日本らしい、瀬戸内らしい、郷愁を誘う風景でした。
そもそもここを教えてくれたのは須飼秀和さん。
彼の作品を見て、訪れたくなったのです。
除虫菊はかつて蚊取り線香の原料として栽培されていました。
今は観光用ということで一部で残っているだけだそうです。
まさにお花畑、圧巻です。
そしてたまたま、ここを管理されている方にお話を伺うことができました。
何とお一人でこの丘一面の除虫菊を栽培されているそうです。
ボランティアに頼ることもなく、すべて一人で。
祖父の代から続いているんだとか。
親父がやってきたことだから、やめるわけにいかないと笑っておられました。
苗を別の場所で育てて、移植するそうです。
毎年ここで咲かせるための苦労は来訪者にはわかりません。
「港を見下ろせるここでないとダメなんです」
花を出荷してお金になるわけでもなく、本業の農作業の傍ら、それこそボランティアでこの除虫菊という観光資源を一人で守っておられる方がいるわけです。
何かを続ける秘訣を学んだ気がしました。
組織を継続させるためには多くの人がうまくバトンをつなぐことが大切なのは明白なんですが、一人だからこそ続くこともある。
ボランティアの奥深さだと思います。
斜面ですから、石垣になっているんですが、その石垣もすべて手作り。
お話を伺うと、見え方が変わりました。
美しい花、美しい風景の陰には人の努力があるのです。
自然の美しさに驚くことは多いですが、人が手を加えなければ見ることができない美しさのほうが触れる機会が多いと思います。
人のぬくもりや真似できない偉業に感動を覚えます。
人工物と自然が織りなす風景が好きです。
今回、ここを訪れて、管理されている方と出会わなければ、これほどのインパクトはなかったかもしれません。
旅の思い出は、やっぱり人なんでしょうね。
翌朝、尾道を歩きました。
坂で猫に会いました。
尾道といえば、猫。
絵になる場所です。
訪れたのは二度目ですが、何度も訪れたくなる場所ですね。
千光寺の展望台まで上った頃には雲行きがあやしくなって、雨が降り出しました。
尾道水道は、ちょうど先日、脱走した受刑者が泳いで渡ったと話題になったところです。
どのあたりを泳いだんでしょうね、彼は。
雨に濡れながら、坂を下りました。
もうちょっとゆっくりしたかったですが、傘を持ってなかったので、また次の機会に。
雨の中、しまなみ海道を南下しました。
雨でもサイクリングされている方がいることにも驚きました。
大三島に寄って、大山祗神社にお参りしてから、今治へ。
タオルを買って、帰路につきました。
よく降りましたが、雨もまた記憶に残っていいものです。
再訪の場所が多かったのですが、そこに行くと前回訪れた時の記憶が甦ります。
それがいいんですね。
前の犬と一緒だったとか、子どもたち小さかったねとか、前来たときも雨だったねとか。
また、行きたいと思いました。
院長